カメラマン業界辞典
色被りとは、写真画像全体または一部に意図せず色がのってしまうことです。
むかし、フィルム時代は蛍光灯の光がくせ者でした。実は蛍光灯の光には緑色が強く含まれているのですが、人の目は脳が勝手に補正してくれるので、蛍光灯の光は白っぽく見えます。フィルムカメラ自体には補正機能がないため、蛍光灯下の写真はありのまま緑色に写ります。(ネガフィルムはプリント時に補正しています)これが色被りです。
他にも色は光なので、反射します。たとえば、スタジオ撮影で色の強い背景紙などの前に被写体が立ち(を置き)、その被写体にメイン光として大きなライト(アンブレラやボックスのデフューザー)をフロント(正面)に置きます。すると、背景紙の色が大きなライトの面に当たり、反射することで被写体に背景紙の色が乗ってしまうことがあります。これも色被りです。
ちなみにこの被写体への色被りを安易にカメラ側で補正してしまうと、背景紙まで補正されてしまうので背景紙が本来の色ではなくなってしまうことがあります。別にそんなの気にしないとか、レタッチでカバーするって手もありますが、被写体の背景との溶け込み具合を気にするならこの反射が被写体の前にまわらないように、しっかりバックからの返り(回り込んでくる光のこと)を切る必要があります。
ところでスタッフのHさんは飲むと、みるみるマゼンダ(色)が強まります。これは色被りとは関係ありませんが、彼を蛍光灯下で撮れば補正されて正しい色になると思うので今度フィルムカメラで試してみようと思います。
[類語]
起こし バウンス まわる
[例文]
夏の夜、中央道で都心に向かっていると、高層ビルを覆う雲が下界の灯りに照らされる光景に出くわすことがあります。やがて首都高に入り、その色被りが頭上に広がってくるごとに悲しい気持ちになるのは私だけでしょうか。